[浜松] 鰻の老舗中川屋 明治10年から141年も脈々と引き継がれてきた伝統の味

うなぎほど奥が深い食べ物はない。

うなぎは淡水魚だけれども、海で産卵する。鮭と同じだ。でもイクラをたくさんお腹の中に抱えて川を上ってくる鮭と違って、実はウナギの産卵場所っていうのは良く分かっていないらしい。少し前に日本から2500キロも離れたマリアナ諸島(グアムやサイパン)の近くでウナギの卵が見つかってニュースになったことはあるけれど(これは日経に載っていた。)、人の手で養殖されたウナギは卵を産まないし、ウナギっていう生物自体が未だよく分かっていないらしい。

それに今回あらためて調べてみて初めて知ったのだけれど、うなぎは嗅覚が非常に優れており、<犬>に匹敵するらしい。ウナギというのは、まだ生態が分かっていないだけでなく、想像をはるかに超えた生物なのだろう。

このよく分かっていないウナギについて、(卵は産まないし、近くを探しても見つからないから)稚魚を捕獲し養殖するというのをやってきたのが静岡県の浜松市である。それも100年以上も昔の明治の時代からやってきた。今回はそんなウナギの街、浜松の鰻屋さんについて紹介したいと思う。

 

まずは浜松でどれだけ鰻が愛されているかという事を身を持って感じるには、浜松市のゆるキャラ、出世大名家康君を見ればわかる。ほら、ちょんまげのところ。

浜松といったらうなぎ、うなぎといったら浜松なのである。

 

 

うなぎ通の最初の一歩

鰻の焼き方には関東風と関西風がある。この違いを知るだけでも人生が豊かになる。せっかくこのブログにたどり着いたあなたには、これだけでも覚えておいて頂きたい。

 

関東風:背開き(切腹を嫌う武士の文化から)。竹串に刺して焼く。蒸してから焼くので、ふっくら柔らか。

関西風:腹開き。(腹を割って語りあう商人の文化から)。金串に刺して焼く。そのまま焼くのでカリっと香ばしい。

 

こんな違いがある鰻の焼き方だけれども、浜松はどうなのか?というと、そこは日本の真ん中である静岡県(50Hzと60Hzが切り替わるのも静岡県)。関東風と関西風は半々という事になるそう。ある店は関東風。ある店は関西風。そんな具合。

 

中川屋の鰻

一般的な話がひと段落したところで、そろそろ今日の本題に移ろう。今日紹介するのは〔中川屋〕だ。

 

中川屋
住所:静岡県浜松市東区中野町861-2
電話:053-421-0007

※電話予約も出来るの、必ず入れるために予約してから行こう。うなぎを食べる気分になってしまってからは、もう他の店に軌道修正できないものなのだ。

 

中川屋は、明治10年(1877年)の創業である。1877年といったらまだ大久保利通も生きていたし、西郷隆盛が西南戦争を戦っていた時代で、ようするに幕末だ。この時からタレを守り続けてきた中川屋は本当に凄いと思う。幕末からだからその後の世界大戦で大変な時もあっただろうけど、その間もずーっとたれに火を入れ続け、守ってきた。中川屋で鰻を食べるという事は、そういうことなのだ。ただランチに鰻を食べるだけではない。幕末から引き継がれてきた味を、そのタレを「経験」するということなのだ。

 

ちなみに〔中川屋〕は天竜川沿いに位置する。うなぎは食べる前には泥を抜くためにきれいな水で飼育される。中川屋の場合、それが天竜川の伏流水。浜松駅からだとちょっと遠いが、美味しい鰻を食べるために我慢しよう。

 

 

早速だが、これが〔中川屋〕の鰻。鰻重だ。

 

焼き方に関して。中川屋は関東風である。実にふっくらしている。口の中に入れた瞬間、白身がほくほくと広がる触感はまさに関東風の真骨頂。ただ、〔中川屋〕のうなぎはそれだけではない。伝統のたれがあるのだ。このタレが実に清楚な味で、下品に甘くもなければ、物足りなくもない。パーフェクトなたれなのだ。実際、ふっくらしているのだけれど、焼きもしっかりしていて、香ばしく、僕は〔中川屋〕のうなぎは関東風と関西風のハイブリッド鰻だと思う。

 

天龍丼

補足でもう一つ付け足しておきたいと思う。こちらが〔中川屋〕もう一つの名物、天龍丼である。ネーミング自体は天竜川の伏流水を使っているから天龍丼なのだろうけど、なんと、うな丼に贅沢にもとろろがかかっており、卵黄が乗る。これはもうズルいです。ウナギじゃない。ウナギじゃないけど普通に美味しい。鰻にとろろがかかっていて美味しくない訳がない。

だけどもこれは2回目以降ということで、まずは初回、〔中川屋〕伝統の鰻重を味わっていただきたいと思う。

 

以上が鰻の老舗、〔中川屋〕の紹介だ。浜松の魅力は(家康君の全身を見ても分かる通り)これだけではない。

東京で暮らすシティーボーイにも、是非、浜松まで足を運んでいただきたいと思う。

 

 

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